“1ミリの改善”が会社を変える。—不動産仲介における“進化の仕組み”とは—
■「改善」と聞いて、何を思い浮かべますか?
「新しいシステムの導入」
「社内体制の見直し」
「業務フローの再構築」
——確かに、どれも立派な“改善”です。
でも、私たちが現場で日々積み重ねている改善は、もっと地味で、もっと泥臭い。
たとえるなら、「昨日よりちょっとだけ良くする努力」。
ほんの1ミリの前進を、毎日積み上げていくような感覚です。
それは派手な改革ではありません。
けれど、長く会社を続けていく中で、この“地味な改善”こそが、
お客様の信頼を支え、組織を強くする柱になっていると、心から思っています。
■「経営の未来を決める場所」を扱う責任
私たちが手がけているのは、貸店舗・貸事務所といった事業用不動産。
住宅仲介とは違い、そこに関わるのはお客様の「人生設計」ではなく「経営戦略」です。
つまり、私たちが扱うのは“企業の未来を左右する舞台”。
だからこそ、1つの提案や1回の対応が、経営の方向性にまで影響を与えかねません。
この“重み”を理解した上で、私たちは常にこう考えています。
「この一件を通して、お客様の未来がより良くなるために、何ができるか?」
その答えを探し続ける中で、
小さな改善の積み重ねが、確実に会社を変えていきました。
■改善の出発点は「お客様の声」から
私たちが最も大切にしているのは、**「お客様の声を社内に持ち帰る」**という文化です。
契約できたお客様の喜びの声だけでなく、
“お断りされた理由”や“もっとこうしてほしかった”というご意見も、すべて共有します。
たとえば、
「物件資料が見づらかった」と言われたら、その日のうちにテンプレートを見直す。
「もう少し早く情報をもらいたかった」と言われたら、社内の情報更新ルールを改定する。
このスピード感こそ、信頼の源。
「指摘はギフト」という考え方で、
お客様の言葉を次の改善につなげていくことを徹底しています。
■“改善提案”を日常にする仕組み
毎週の定例会議では、スタッフ全員に「現場からの改善提案」を1つ以上出してもらうルールがあります。
内容は本当に小さなものでも構いません。
・空室情報の更新頻度をもっと上げられないか?
・物件写真の撮り方を変えたら印象が変わるのでは?
・LINEでの初動返信を、もっと気持ち良く感じてもらうには?
こんな話題が、毎週のように出てきます。
大切なのは、“提案すること”を当たり前にする空気づくり。
最初は「自分の意見なんて…」と遠慮していたスタッフも、
今では「自分が現場を変える一員なんだ」という意識に変わっていきました。
これが組織として一番の成果だと思っています。
■IT導入は“効率化”ではなく“体験設計”のために
改善というと、「IT化」と言われることも多いですが、
私たちがツールを使う目的は“効率化”ではなく、“お客様がストレスなく動ける状態を作ること”。
事業用物件を探している方の多くは、経営者や担当責任者。
時間が限られています。
だからこそ、
・Zoomでのオンライン内見
・IT重説(オンライン契約説明)
・LINE公式アカウントでの問い合わせ対応
などを積極的に導入しています。
これにより、遠方のお客様や多忙な経営者でも、
無駄な移動時間なくスムーズに情報を受け取れるようになりました。
テクノロジーの導入は手段であって目的ではない。
目的は常に、「相手の手間を減らし、意思決定を助けること」です。
■「ありがとう」が飛び交う職場が、最強の改善文化をつくる
どれだけ仕組みを整えても、改善が根づくかどうかは、人の気持ち次第です。
私たちの社内では、「ありがとう」がよく飛び交います。
・資料を早く仕上げてくれた
・お客様対応のフォローをしてくれた
・分かりやすい説明を心がけてくれた
そんな“当たり前の行動”に対しても、自然に感謝の言葉が出てくる。
この空気感が、結果的に「改善を促す土壌」になっているんです。
なぜなら、感謝がある環境では、人は安心して意見を出せるから。
「失敗を責める」ではなく、「改善のきっかけを喜ぶ」。
この姿勢が、組織の成長を加速させています。
■改善とは、“意識の筋トレ”である
改善の文化を続けていると、
スタッフ一人ひとりの“観察力”が格段に上がります。
お客様の一言や、反応の微妙な変化をキャッチし、
「これ、次回から直した方がいいかも」と自然に考えるようになる。
それはもう、“意識の筋トレ”に近い。
毎日の小さな気づきを繰り返すことで、
チーム全体が「どうしたらもっと良くなるか」を瞬時に考えられる体質になっていきます。
■地味な1ミリの積み重ねが、「他社にはない強み」になる
私たちの仕事は、派手ではありません。
しかし、1ミリ単位の改善を積み重ねてきた結果、
「紹介率」と「リピート率」が確実に上がりました。
お客様からの紹介で新しいご縁が生まれ、
「あなたたちの対応が気持ち良かったから」と別案件を依頼いただく。
こうした結果は、決して偶然ではありません。
すべて、小さな改善の積み重ねによって生まれた“信頼の連鎖”です。
■「改善」は会社の成長ではなく、“人の成長”の話
改善とは「会社の成長施策」ではなく、「人が成長していくプロセス」なんですよね。
仕組みや制度は、あくまで補助輪。
最終的に組織を動かすのは、人の気づきと意志です。
誰かの「こうした方がいいかも」がきっかけで、
社内の流れが変わり、次第に全体の意識が上がっていく。
そういう“人の成長の連鎖”が、会社全体の改善を生むのだと思います。
■「完璧」よりも「進化している途中」でありたい
改善に終わりはありません。
むしろ、“常に未完成でいること”こそが、私たちの強みです。
昨日より少し早く、
昨日より少し丁寧に、
昨日より少し分かりやすく。
この1ミリの差を積み重ねることで、
お客様から「なんか、前より良くなってるね」と言ってもらえる瞬間が増えていく。
それが、私たちにとって最高の評価です。
■最後に:「改善」は“感謝”の延長線上にある
私たちはいつも思います。
「ありがとう」が多い職場は、自然と改善が生まれる。
改善とは、相手を思いやる行動の積み重ねです。
お客様を思い、仲間を思い、会社を思う。
その延長線上に「もっと良くしたい」という気持ちが芽生える。
だからこそ、私たちはこれからも、
派手な改革より、“人の温度を感じる改善”を大切にしていきたいと思います。
1ミリの改善が、1年後には1歩の成長になる。
その積み重ねが、信頼という大きな財産をつくっていく。
そしてその財産こそ、
不動産仲介という仕事における“本当の資産”だと、私たちは信じています。

