駄菓子とビールでつながる街「地域コミュニティの未来」
■ 駄菓子とビール、そして“ゆるいつながり”
8月1日の夕暮れ、名古屋市東区の酒屋「みのせい」さんの店先に、ちょっと不思議な空間が生まれました。
題して──「駄菓子 de 一杯飲みましょ〜会」。
店の前には即席のビールケースを並べたテーブル。
上には昔懐かしい駄菓子と、よく冷えた生ビール。
特別な演出なんて一切ない。だけど、その“ざっくり感”が心地よいんです。
袋を開ける「パリッ」という音、生ビールの泡が立つ「シュワッ」という音。
この二つの音が交互に響くだけで、もうその場が“楽しい場所”になりました。
まさに「音と香りがつくるコミュニティ」。
このイベントには、近所の方々が自然と集まってきていました。
仕事帰りのサラリーマン、子どもを連れたお母さん、近くの高齢者。
誰もが笑っていて、話したことのない人同士がすぐに打ち解ける。
「この駄菓子、懐かしいね」
「昔10円でこれ買えたよね」
そんな他愛ない会話から、人と人との距離が一気に縮まる。
地域って、こういう“何気ない交流”からつながっていくんですよね。
■ 主催者の「やってみよう」が、街を変える
このイベントを企画したのは「みのせい」さんのご夫婦。
特に印象的だったのが、奥様が奏でる“カリンバ”の音色でした。
カリンバは小さなオルゴールのような楽器で、夕暮れの街にふわりと響く音は、まるで時間をゆっくりと溶かしていくよう。
ビール片手に駄菓子をつまみながら、その音に耳を傾ける――そんな光景に、誰もが少しずつ笑顔になっていました。
“楽しいことをやってみよう”という気持ちが、最も強い地域活性化の原動力なんです。
■ 地域活性化は「大きな計画」からではなく「小さな行動」から
私たちの仕事(事業用不動産仲介)では、テナントが決まった瞬間から新しい「街の物語」が始まります。
そこにカフェができれば、朝の通勤路に香りが生まれる。
雑貨屋ができれば、休日の楽しみが増える。
一つひとつの店舗が、街の表情を少しずつ変えていくんです。
今回の「駄菓子 de 一杯飲みましょ〜会」も同じ。
立ち飲みスペースというたった数平方メートルの場所が、笑顔と会話の交差点になっていました。
地域再生やまちづくりというと、行政や大企業の大掛かりなプロジェクトを思い浮かべがちです。
でも実際は、こんな“小さな遊び心”が街を変えるきっかけになる。
私たちも、そんな“きっかけ”を生み出せる不動産会社でありたいと常に思っています。
物件を貸すだけではなく、その先にある「人の動き」「会話」「つながり」を想像する。
それが、事業系不動産の本当の価値だと考えています。
■ 「自分たちの街は、自分たちで面白くする」
イベントの最中、常連さんが言っていました。
「こういうの、昔はよくあったけど、最近減っちゃったね。でもやっぱりいいねぇ。」
その言葉がすごく印象に残りました。
確かに今は便利な時代。SNSで人とつながることもできる。
でも、“リアルに会って話す”ことの価値は、やっぱり別格なんです。
地域が元気になるのは、“誰かがやってくれる”からじゃなく、“自分たちで作る”から。
その原点を、「みのせい」さんは見事に体現していました。
この光景を見ていて、私たちも改めて思いました。
「街を面白くするのは、不動産そのものではなく、そこに関わる“人”だ」と。
だからこそ、私たちが提案する物件は、単に“貸す場所”ではなく、“人と人をつなぐ場所”。
地域に笑顔を生むきっかけを仕掛けていくことが、これからの不動産業の使命だと感じています。
■ あなたの街にも、きっと“はじまり”がある
ここで、読者の皆さんに問いかけてみたいと思います。
あなたの街にも、「気軽に立ち寄れる」「つい話したくなる」そんな場所はありますか?
もし「最近そういう場所、ないな」と感じたら――ぜひ自分で作ってみてください。
最初は2~3人でもいい。
駄菓子と缶ビールがあれば、もう立派な“コミュニティ”です。
地域の面白さは、行政ではなく、そこに暮らす人たちがつくるもの。
「小さな一歩」が街を動かし、「一度の出会い」が未来のまちを育てる。
そんな連鎖を、これからも生み出していきたいですね。
■ まとめ:街の“温度”は、人の“想い”がつくる
このイベントを通して感じたのは、
街の魅力は「施設の新しさ」や「利便性」ではなく、
“人の想い”と“ちょっとした行動”から生まれるということ。
駄菓子とビール、即席テーブル、そして笑い声。
それだけで、街はあたたかくなる。
私たちも、不動産というフィールドから、そんな“ぬくもりある場所”をこれからも生み出していきたいと思います。


