不動産は“地域を守るインフラ”になる──私たちが地域防災協力企業に登録した理由と、不動産業としての使命
「不動産の会社が、防災?」
そう思われるかもしれません。
しかし私たちはこのたび、地域防災協力企業として正式に登録しました。
これは、災害時に行政や地域住民と連携し、企業として可能な範囲で支援活動を行う仕組みです。
私たちの場合は、自社倉庫の一部を物資集積所として提供します。
救援物資が届いた際の拠点となり、必要な人へ素早く届ける流れをつくる役割を担います。
この記事では、なぜ私たちがこの取り組みに踏み出したのか。
そして“不動産会社だからこそできる地域貢献”について深く掘り下げていきます。
■ 「災害はいつでも起きる」——その現実を見つめ直す
ここ数年、地震・台風・豪雨などの災害が全国各地で頻発しています。
ニュースを見るたびに胸が痛みつつも、どこかで「自分の地域は大丈夫だろう」と感じてしまう。
私自身、正直なところ以前はそう考えていました。
しかし、様々な災害事例を目にする中で痛感したのは、
“備えていたかどうかで、救える命が大きく変わる” という事実です。
行政がすべてをカバーできるわけではありません。
地域住民、そして地域企業が補完することで、救える人の数が大きく変わります。
だからこそ、
「私たちが持っているものを、地域の役に立てたい」
その思いで地域防災協力企業への登録を決断しました。
■ 不動産会社だからこそ提供できる“地域のライフライン”
不動産会社の仕事は、普段は“オフィスや店舗を仲介すること”。
しかし、本当の価値はそれだけではありません。
私たちは日々、建物・土地・倉庫・駐車場など、多様な不動産に触れています。
そして災害時、これらが“地域の命を守る資源”へと変わるのです。
例えば…
-
空き倉庫 → 物資の集積拠点
-
空き店舗 → 一時的な避難場所
-
駐車場 → 救援物資の受け渡しスポット
-
事務所 → 情報共有基地
普段は事業用として活用されている空間でも、非常時には地域を守るインフラに変わります。
この視点こそ、不動産業に携わる私たちが持つべき“社会的使命”だと感じています。
■ 倉庫を開放するという選択:私たちが地域と共に動く理由
今回、私たちは自社倉庫を物資集積所として登録しました。
決して立派な設備ではありません。
しかし、災害時に「物資をどこに置くのか?」という問題はとても大きい。
行政もすべての場所を把握しきれません。
そこで民間企業の協力があることで、地域の防災力は一気に高まるのです。
“持っているものを地域のために開放する”
その姿勢自体が、地域に安心を広げる一歩だと考えています。
■ 防災は行政の仕事ではない。地域の文化であり、習慣である。
日本では「防災=行政の仕事」という認識がいまだ根強いですが、
本来、防災は地域全体で取り組む文化であり、日常の延長線上にある習慣です。
例えば、私たち企業だけでなく個人でもできることがあります。
-
飲料水・非常食を“最低3日分”ストックする
-
家族の連絡先を紙で控えておく
-
近所の高齢者の方と一緒に避難ルートを歩く
-
カセットボンベや懐中電灯を定期的に点検する
-
スマホだけに頼らない情報手段を持つ
こういった“小さなアクション”が、大災害時には命をつなぐ力になります。
私たち企業が倉庫を開放するのも、結局はこの延長線上にあります。
大きなことをしなくてもいい。
まずは、今持っているものを、地域と共有すること。
そこからすべては始まります。
■ 不動産の本当の価値:“普段の価値 × 非常時の価値”
事業系不動産の現場で仕事をしていると、
「物件の価値は用途・立地・設備」で決まるというイメージが強くなります。
しかし、視点を変えれば見えてくるものがあります。
不動産の価値は、普段だけでなく “非常時にどう使えるか” でも大きく変わる。
例えば…
-
1階が広い店舗 → 高齢者の避難場所
-
駐車場の広いテナント → 物資の集積や受け渡し
-
大きな倉庫 → 防災拠点
-
事務所 → 情報集約のスペース
不動産は“地域を守る資産”そのものです。
私たち不動産業者の役割は、
「賃貸仲介」ではなく「地域の価値を最大化する仕掛け人」
であるべきだと、強く感じています。
■ あなたは災害が来たとき、まず何ができますか?
ここで、読者の皆さんにお聞きしたいことがあります。
もし今日、大きな災害が起きたら——
あなたは地域のためにどんな行動ができますか?
「家族の安否を確認する」
「近所の声を聞きに行く」
「避難所の場所を知っておく」
その程度で十分です。
大切なのは、“自分にできる一歩を用意しておくこと”。
備えがある人が一人増えるだけで、地域全体の安全性は大きく変わります。
■ 私たちが届けたいのは、「安心が循環する街づくり」
地域防災協力企業に登録して思うのは、
この取り組みは“社会貢献”というより、街に住む者としての義務に近いということです。
私たちの倉庫は、普段は不動産業務のために活用しています。
でももしもの時には、地域の“命を支える場所”として機能する。
持っている資源を共有することは、街への恩返しでもあります。
そしてその支援の輪が少しずつ広がっていけば、
“助け合いが循環する街”が育っていきます。
それこそが、不動産業としての真の使命であり、街づくりの根幹です。
■ あなたの「一言」が、誰かの備えになる
この記事を読んで、もし少しでも
「自分にもできることがあるかもしれない」
そう感じていただけたなら嬉しいです。
そして良ければ、コメント欄にあなたの備えや考えを書いてみてください。
-
「非常食を見直してみます」
-
「避難ルートを歩いてみます」
-
「家族と話し合います」
そんな一言で十分です。
あなたの一言が、
誰かの防災意識を高め、命を守る行動につながるかもしれません。
私たち不動産会社は、地域と共にある存在です。
街の未来を守るために、これからもできることを一つずつ積み重ねていきます。

