僕らが「取り扱っている」ものは○○だった件 〜物件を“つなぐ”という、不動産仲介の本質〜
■「不動産業=物件を紹介して終わり」…本当にそうでしょうか?
こんにちは。名古屋で事業用賃貸の仲介をしている秦です。
オフィスや店舗の出店サポートを中心に、日々さまざまな方とお話ししています。
さて、よく言われるんです。
「不動産会社って、物件紹介して、契約書交わして終わりでしょ?」
──半分正解で、半分は惜しい。
確かに、形式上はそれで仕事は完結します。
でも、私たちが本当に“取り扱っている”ものは、
**「物件」ではなく、「人と街と未来」**なんです。
■ 物件を「紹介」するのではなく、「つなぐ」
店舗やオフィスというのは、単なる「ハコ」ではありません。
そこには事業者の思いがあり、夢があり、そしてその街の人々の生活があります。
私たちの仕事は、「物件を貸す」「契約を取る」ことではなく、
“その場所でどんな未来が生まれるか”を想像しながらつなぐこと。
たとえば、あるカフェオーナーが「地域の人が集まる場所を作りたい」と言うとき、
私たちは単に“空いている店舗”を紹介するのではなく、
“その想いが街にフィットする場所”を探します。
それが私たちの言う、**「物件をつなぐ仕事」**です。
■「賃貸」よりも「舞台」──事業用物件の本質
事業用賃貸を長年やってきて感じるのは、
店舗やオフィスは「賃貸物件」ではなく「舞台」だということ。
そこにはオーナーや従業員、そしてお客様という“登場人物”がいます。
物件は、彼らの物語が始まる“ステージ”なんです。
だからこそ、私たちは常にこう考えています。
「この人がこの物件で、どんな物語を紡いでいくか?」
単に「条件が良いか」ではなく、
**「この街で、この人の商売が続くのか」**という視点が最重要。
家賃が安い、駅が近い、内装が綺麗──もちろん大切です。
でも、ビジネスが根を張るには、
「その人に合った街」「その街に愛される事業」である必要があるんです。
■ 物件選びは“靴選び”と同じ
これは、よくお客様に話す例えですが、
物件選びって、“靴選び”にすごく似ています。
どんなに高級ブランドの革靴でも、
足に合っていなければ痛くて歩けない。
最初はテンションが上がっても、
日が経つにつれて違和感が出てきて、
結局クローゼットの奥か、メルカリ行きになります(笑)
物件も同じ。
安いから、広いから、デザインがいいから──だけで決めてしまうと、
開業後に“自分の事業と合っていなかった”という違和感が出てきます。
私たちの仕事は、いわば**「不動産版シューフィッター」**です。
その人の“足の形=事業スタイル”を見極め、
一番しっくりくる靴(=物件)を一緒に探す。
そんな“寄り添う仲介”が、私たちの理想の形です。
■「理念」は飾りじゃない──“絆”を行動に落とし込む
私たちの会社の理念は、
「物件を通して人とコミュニティをつなぎ、人々の絆を育みます。」
少し照れくさい言葉ですが、本気でこの理念を実践しています。
私たちが大切にしている「誠意の三本柱」は次の3つです。
-
嘘をつかないこと。
無理に契約を急がせず、事実を正直に伝える。
「この立地では厳しいかもしれません」と、時には耳の痛い話も正直に言います。 -
“その人に合う場所”を探すこと。
「条件に合う物件」ではなく、「その人のビジネスが息づく場所」を探す。 -
契約まで伴走すること。
申込から契約、オープンまで、悩みを一緒に整理しながら進める。
この3つを徹底することで、
お客様との間に**「信頼と再現性」**が生まれます。
■ “街づくりの一員”としての不動産会社
最近は、物件仲介だけでなく、SNSで地域情報を発信したり、
地元イベントに顔を出したりすることも増えました。
「もう何屋さんか分かりませんね」と言われることもしばしば(笑)
でも、根底には共通する思いがあります。
「この街をもっと良くしたい」
空き物件をどう再生させるか。
新しい事業者と街をどう繋げるか。
地域の人とビジネスがどう共存できるか。
私たちは、“街の今”だけでなく“街の未来”を見据えて行動しています。
単に「不動産取引を成立させる」のではなく、
「地域の活性化につながる一歩を生み出す」。
そういう視点で動けるのが、地域密着の不動産業者の強みだと思っています。
■ 私たちが「売っているもの」は“未来”
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、
私たちが本当に取り扱っているのは「未来」なんです。
物件はその“舞台装置”に過ぎません。
その場所で新しい出会いが生まれ、雇用が生まれ、街が変わっていく。
つまり、私たちは**「人と街の未来をコーディネートする仕事」**をしているのです。
これが、私たちが長年大切にしている「つなぐ」という言葉の本質です。
■ 「物件を売る会社」から「物語をつくる会社」へ
不動産業は、これまで“ハコを扱う業界”と見られがちでした。
でもこれからの時代、
私たちは「物語を紡ぐ業界」であるべきだと思っています。
物件をただ貸す・売るのではなく、
その場所でどんな物語が始まり、誰が笑顔になり、
どう街が変わっていくのかを共に考える。
その想像力こそが、これからの不動産仲介の価値です。
■ “未来の空気感”まで提案する会社でありたい
最後に、私たちが理想とする姿を一言で表すなら、
「未来の空気感まで提案できる不動産会社」
単に条件が良い物件を並べるだけなら、AIでもできます。
でも、「この街の未来がどう変わるか」まで想像できるのは、人間だけ。
地域の温度感、街の呼吸、そこに住む人の思い。
それらを肌で感じながら提案できることこそ、
私たちの最大の強みだと思っています。
だから今日も、
“街の空気”を感じるために現場を歩き、
“人の想い”を聞くために会話を重ね、
“未来の可能性”を描くために物件を見つめています。
■ まとめ:不動産業者の本質は「未来をつなぐ仕事」
物件を紹介するだけなら、誰にでもできます。
けれど、そこに「人」「街」「未来」を見据えられるか。
それが、本物の不動産業者を分けるポイントです。
私たちが扱っているのは、
「契約書に載らない価値」──つまり、“未来そのもの”。
不動産を通じて、人と街をつなぎ、
新しい可能性が芽生える瞬間に立ち会えること。
それこそが、この仕事の一番の醍醐味です。
🔹結論:「僕らが取り扱っているのは、“未来”だった。」
今日もまた、新しい出会いの中で、
誰かの未来の一歩をつなげるように。
私たちは、これからも「街のシューフィッター」として、
最適な“履き心地のいい場所”を探し続けていきます。

