事業用賃貸契約で後悔しないために ― 契約前に必ず押さえておきたい10の確認ポイント ―
起業や事業拡大、拠点の移転を考えるとき、多くの方がまず注目するのは
「立地」「広さ」「賃料」ではないでしょうか。
もちろん、それらは事業の成否を左右する重要な要素です。
ただ、現場で長く仲介に携わってきた立場からお伝えすると、
**本当に差が出るのは「契約内容をどこまで理解しているか」**という点です。
実際、物件自体は非常に良い条件だったにもかかわらず、
契約内容の確認不足によって、
退去時に数百万円単位のトラブルに発展してしまうケースを、私達は何度も見てきました。
契約書は専門用語も多く、読みづらい部分もあります。
その結果、「まあ大丈夫だろう」と流し読みしてしまう。
この小さな油断が、後々大きな負担になることがあります。
そこで今回は、事業用賃貸契約で最低限確認しておきたい10のポイントを、実務目線で整理しました。
① 用途地域の確認
その場所で、自分の業種が本当に営業できるのか。
住宅専用地域などでは、業態によって制限がかかる場合があります。
② 契約期間と更新条件
事業計画が中長期なのに、
契約が短期・更新料が高額だと、資金計画にズレが生じます。
③ 原状回復義務の範囲
スケルトン渡し・スケルトン返しの場合、
退去時の解体費用は想像以上に大きくなることがあります。
④ 賃料以外の固定コスト
管理費、共益費、看板使用料など、
毎月かかる費用を合算して把握できているかが重要です。
⑤ 禁止事項・特約条項
営業時間の制限、音・匂いに関する条件など、
やりたい事業内容と矛盾がないかを必ず確認します。
⑥ 違約金・損害賠償条項
途中解約時に、残存期間分の賃料請求が発生するケースもあります。
撤退リスクを想定した確認が欠かせません。
⑦ 設備の修繕責任
空調や給排水が故障した場合、
貸主負担か借主負担かは契約によって大きく異なります。
⑧ 保証人・保証会社の条件
保証会社利用が主流ですが、
初期費用・更新費用・条件は事前に把握しておく必要があります。
⑨ 契約解除の条件
賃料滞納が何か月続くと解除になるのか。
万が一の事態を想定した確認が重要です。
⑩ 特記事項・物件固有の条件
消防法関連の設備、近隣との取り決めなど、
その物件特有の注意点が記載されていることがあります。
ここまで読むと、
「確認事項が多くて大変そう」と感じるかもしれません。
ですが、すべてを完璧に理解する必要はありません。
大切なのは、
**「自分の事業に直接影響するポイントはどこか」**を把握すること。
それだけで、契約リスクは大きく下げることができます。
事業用の賃貸契約は、
単なる「場所を借りる行為」ではなく、
これからの経営を支える土台をつくる作業です。
私達は、物件紹介だけでなく、
こうした契約内容も含めて、事業が無理なく続く選択かどうかを一緒に確認しています。
これから物件を探す方、すでに検討中の方も、
ぜひ一度、契約書を「経営の視点」で見直してみてください。
それが、後悔しない出店・移転につながるはずです。


