出店がうまくいく人は、物件を見る前に何をしているのか― 店舗探しで失敗しないための事前整理 ―

物件探しの前にやるべきこと

― 出店でつまずかないための現実的な準備 ―

起業したい。
飲食店やサロンを開きたい。
そう考えたとき、多くの方が最初に動くのが「物件探し」です。

もちろん間違いではありません。
ただ、私達が日々現場で見ていて強く感じるのは、物件探しから入ってしまうことで、かえって遠回りになるケースが非常に多いという現実です。

物件サイトを見始めると、条件の良さそうな物件、雰囲気の良い外観、駅から近い立地……
次々と気になる情報が目に入ります。

そしていつの間にか、

  • 「とりあえず内見だけ」

  • 「まだ決めないけど見てみたい」

  • 「比較のためにもう一件」

と、“見たい”が目的になってしまう。
私達はこれを、半ば冗談交じりに**「見たいみたい病」**と呼んでいます。

ですが、この状態のまま進むのは、実はかなり危険です。


物件探しの前に固めるべき「4つの土台」

物件を見る前に、最低限整理しておきたいことがあります。
それは難しい理論ではなく、現実的な準備です。

① 決断できる状態をつくる

良い物件ほど、迷っている間に決まります。
これは例外なく事実です。

だからこそ必要なのは、「気に入ったら決められる状態」になっているかどうか。
事業計画、資金の目処、家族やパートナーとの合意。
これらが曖昧なままだと、チャンスが来ても決断できません。

② 自己資金を用意する

自己資金ゼロでの出店は、現実的にかなり厳しいです。
保証会社や金融機関の審査において、**「自己資金=覚悟の指標」**と見られることが多いためです。

金額の大小ではなく、「どこまで自分で準備しているか」が重要です。

③ 融資相談は早めに行く

「物件が決まってから銀行に行こう」と考える方は少なくありません。
しかし、これは順番が逆です。

日本政策金融公庫など、まずは金融機関に相談し、
・どの程度の融資が見込めそうか
・事業計画のどこを修正すべきか
感触をつかんでおくことが重要です。

この一手間が、後のスピードと精度を大きく左右します。

④ 補助金・支援制度を調べておく

国や自治体の補助金制度は、タイミングと条件次第で初期費用を軽減できる可能性があります。
「知らなかった」で終わらせるには、あまりにも差が出ます。


起業準備でよくある「つまずきポイント」

ここからは、現場で実際によく見るケースです。

「謎の出資者」に頼ってしまう

金融機関でも親族でもない、曖昧な出資話。
話を聞くと決まってこう言われます。

「大丈夫です」

ですが、いざ入居審査の段階になると
「まだ資金が動いていない」「手元にない」となり、審査が進まない。
結果的に、物件も逃してしまうケースが少なくありません。

出店は、実在する資金で進める
これが基本です。

冷静に計算すると「別の選択肢でよかった」

最初は貸事務所を検討していたものの、
収支を整理すると「シェアオフィスで十分だった」というケースもよくあります。

だからこそ、最初に数字で考えることが重要です。

形にこだわりすぎて現実が見えなくなる

内装や外観のイメージを描くこと自体は悪くありません。
ただし、運営資金や回収計画と噛み合っていなければ意味がありません。

「続けられるかどうか」を基準に考える必要があります。


では、どう進めればいいのか

ここからは、私達が実際におすすめしている考え方です。

  • 気になるエリアを実際に歩いてみる
    ネットでは見えない空き物件や、街の雰囲気が見えてきます。

  • 撤退ラインを先に決める
    「ここまで赤字が続いたらやめる」という基準を持つこと。

  • ネットの物件情報を使ってシミュレーションする
    初期費用、月々の固定費、解約時のコスト。
    これを一度整理するだけで、現実味が一気に増します。

この作業をしておくと、不動産会社との打ち合わせも非常にスムーズになります。


AIを「壁打ち相手」として使うという選択

最近は、AIを使って事業計画の整理をする方も増えています。

  • リスクの洗い出し

  • 数字の抜け漏れチェック

  • 改善案のヒント出し

あくまで最終判断は専門家に確認する前提ですが、
頭の中を整理するツールとしては非常に有効です。

実際、私達自身も思考の整理に使うことがあります。


最後に

物件探しは、出店の「入り口」にすぎません。
本当に大切なのは、その前にどれだけ現実的な準備ができているかです。

もし、これから出店を考えているなら、
まずは一度立ち止まって、今日お伝えしたポイントを整理してみてください。

その一歩が、結果的に一番の近道になります。

地域に根ざした良いお店が増えること。
それは、街にとっても、事業者にとっても大きな価値だと私達は考えています。

一緒に、無理のない形で前に進んでいけたら嬉しいですね。