“ありがとう”の裏側にあるもの。心でつなぐ不動産仲介の話
「“ありがとう”の裏側にあるもの」。
私たちの仕事、不動産仲介というのは、単なる“物件の取引”ではありません。
そして、契約という行為そのものが目的でもありません。
むしろ、その**先にある「ありがとう」**こそが、
私たちがこの仕事を続ける理由であり、存在意義だと思っています。
■ 「不動産仲介」は“人生の転機”に立ち会う仕事
私たちが扱うのは、建物でも土地でもなく、
お客様が描く「これからの未来」そのものです。
たとえば、
「この街でカフェを始めたい」
「小さな事務所からスタートして、いずれ社員を10人にしたい」
「古い物件をリノベして、新しい価値を生み出したい」
——こうした思いを持つ方々が、日々、私たちのもとにやってきます。
だからこそ、物件の“スペック”だけでは語れない世界がある。
坪単価や築年数よりも大切なのは、
「この場所で、この人が、どう成長していくか」という視点です。
そしてそのスタートに関わる責任の重さを、
私たちは常に感じながら仕事をしています。
■ 信頼の8割は「最初の1分」で決まる
「この人に任せよう」と思ってもらえるかどうかは、最初の1分で決まります。
第一印象で信頼を得るには、
派手な営業トークではなく、誠実さとスピード感がすべてです。
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問い合わせには24時間以内に必ず返信する
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「できること」「できないこと」を明確に伝える
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お客様がまだ言葉にしていないニーズを先読みして動く
この3つを徹底してから、契約率も紹介率も大きく変わりました。
「この人、ちゃんとしてるな」
その一言をもらえた時点で、もう信頼関係の土台はできています。
■ “ありがとう”は、偶然じゃない
お客様から「ありがとう」と言っていただく瞬間。
それは、私たちにとって最高の報酬です。
でも、あれは偶然もらえる言葉ではありません。
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どれだけ相手の話を聞いたか
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どれだけ相手の立場で考えたか
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どれだけ「この人の成功」を願えたか
この積み重ねが、最後に“ありがとう”として返ってくる。
■ 契約は「ゴール」じゃない。むしろ「スタート」
多くの営業が「契約=ゴール」と思ってしまいがちです。
でも僕は、契約は**“スタートライン”**だと考えています。
開業や移転は、そこからが本番。
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開業準備中の内装業者の紹介
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看板設置や広告業者との連携
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MEO対策やSNS発信のアドバイス
こうしたサポートを通じて、
「借りて終わり」ではなく、「育てていく関係」を築く。
お客様が軌道に乗り、次の出店や拡張の相談をしてくださるとき、
それは私たちにとって“最高のリピート”です。
そしてまた「ありがとう」が増える。
この循環が、事業の土台を強くしてくれるんです。
■ 「ありがとう」が次の仕事を連れてくる
私たちの行動方針のひとつに、
**「良い人生は“ありがとう”が創る」**という言葉があります。
利益を上げることは、会社として当然大切。
でも、それ以上に重要なのは、
感謝が循環する仕組みをつくることだと思っています。
「ありがとう」が増えると、不思議と次の紹介が生まれる。
「あの人に相談した方がいいよ」と自然に広がっていく。
それは広告やマーケティングよりも強力な、
“信頼の連鎖”です。
そして、その連鎖の起点にあるのが、
心を込めたひとつの対応なんです。
■ 不動産は“数字”より“人間力”
近年、AIやデータ分析、VR内覧など、
不動産業界もどんどんテクノロジーが進化しています。
もちろん私たちも積極的に活用していますが、
それでも最後に選ばれるのは「人」です。
どれだけテクノロジーが発達しても、
「この人と一緒にやりたい」と思われなければ意味がない。
不動産仲介は、人の想いを翻訳する仕事です。
物件情報という“数字”を、
「夢」や「未来」に変換するのが、私たちの役割。
だから僕は、営業を“プレゼン”ではなく、“対話”だと思っています。
■ “ありがとう”が生まれる現場に、AIは介入できない
AIが物件をマッチングし、最適化された条件を提示できる時代。
でも、“ありがとう”という感情を生むのは、
人の温度と共感です。
お客様が不安を抱えている時、
背中を押すのは数値じゃなく、“言葉”です。
「大丈夫、ここから一緒にやっていきましょう」
この一言に、人は救われる。
だからこそ、これからの不動産業者に求められるのは、
“情報の速さ”よりも、“心の深さ”なんだと思います。
■ まとめ:「ありがとうの数」=「信頼資産」
最終的に、
私たちがこの仕事で築いていくのは、
売上でも契約件数でもありません。
「ありがとうの数」こそが、最大の資産。
この数をどれだけ積み重ねられるかが、
地域での信頼度を決め、事業の持続性を決める。
そしてその“ありがとう”は、
誰かの人生の転機に、ほんの少し関われた証です。

